=たいようのおなら =たいようがおならをしたので
ちきゅうがふっとびました
つきもふっとんだ
星もふっとんだ
なにもかもふっとんだ
でもうちゅうじんはいきていたので
おそうしきをはじめた
=おとうさん=
おとうさんのかえりが
おそかったので
おかあさんはおこって
いえじゅうのかぎを
ぜんぶ しめてしまいました
それやのに
あさになったら
おとうさんはねていました
=なかなおり=
わたしが五さいのとき
おとうさんと
おかあさんが
ふうふげんかをしました
でもいまは
そんなことはわすれています
きょうは 土よう日
あしたは 日よう日
あさっては 月よう日です
=かげ=
ゆうがた おかあさあんといちばへいった
かげがふたつできた
ぼくは おかあさんのかげだけ
ふまないであるいた
だって おかあさんがだいじだから
かげまでふまないんだ
=停電=
停電の夜
あんなところに
トタンのあな
星のようだ
=こころ=
せんせいは
なんのこころをもっているのですか
それをおしえてください
わたしは
なんのこころをもっているのですか
おしえてください
=いぬ=
いぬは
わるい
めつきはしない
=ただいま=
おかあさんがしごとにいっているから
学校からかえって
「ただいま」
といっても
だれもこたえてくれない
でもわたしの心の中に
おかあさんがいるから
へんじをしてくれる
近くに、言葉を引き出してくれる大人がいる子どもは幸せだ。なーに? と聴いてくれるからこそ、安心して話したり、書くことができる。
※「子どもへの恋文 」(角川文庫))灰谷 健次郎 (著)
詩集ではないが「子どもへの恋文」も、時折開く1冊。「子どもと共に生きることによって、生かされてきた」と語る著者の記録である。児童詩誌「きりん」の中の作品を多く紹介。
子どもの心の内奥から放出されるまっすぐな言葉には、いつも打ちのめされてしまう。一人の例外なく、子どもの心の中には、地球上に生きる人類が想像し得る、すべての願いや夢が詰まっている。
もしももしも、地球がなにかの拍子で消えてしまったとしても、言葉がいっぱい詰まった子どもの心は、宇宙の中で何千年も何万年も漂って、いつか必ず神さまのところに届く。そう信じている。
=月=
一人でお風呂に行っての
帰り道
月がわたしに
ついて来る
わたしが家に入ったら
月はどうするのかしら
=おなら=
ぷすん
ぽすんと
おならをこきました
それから
わたしは
おくさんごっこをしました
=夕日=
夕日が でると、
目が、つむれてくる
なんだかさみしいことが
体中を、とびまわる
夕日が、とびまわらす
=あそんで=
びょうきで ねてんねん
おとうちゃん かいしゃ
にいちゃん いえにいいひんねん
おれな
よその子の こままわし
じっと みてるねん