言葉と記憶の小径。

D's Diary./The long and winding path of my own choice.

2023-10-01から1ヶ月間の記事一覧

変わらなくてもいいもの。

〇日 今週はいつになく、たくさんの人の話を聴いた。たくさんといっても、6人だけど、あたらめて、誰もが固有の物語をもっていることに気づく。その物語とは、最初からあったものではなく、その人自身から作り出されたもの。お母さんを亡くしたある人は、お…

映画「最初の人間」「愛、アムール」「偽りなき者」。

〇日 ライブラリー(以下同)から、古い作品ばかりを取り出して、見ている。この日の午前は「最初の人間」。ノーベル文学賞作家アルベール・カミュの遺稿で、没後30年以上を経て発見され、未完のまま1994年に出版された「最初の人間」を映画化。生まれ育った…

フジおじちゃんとフジおじちゃんのおばさん。

フジおじちゃん。名前をフジオというので、そう呼んでいた。父の2つの上の兄である。若いときに結核に罹って、何度も手術を繰り返し、最後の手術では肋骨が6本も切られてしまった。それでも退院して、少し体調がよくなると酒もタバコもやった。奥さんは、…

ホームの向こう。

駅舎はすっかり以前の面影をなくしているが、ホームも跨線橋もほぼ50年前のまま。跨線橋の奥に見える小さな建物が父の「職場」だった。昔は、ホームがこの建物まで続いていたが、いつの間にか、途中でちょん切られたようだ。 鉄道員だった父の詳しい仕事はわ…

薪割りの日。

いまごろの季節になると、私の生まれた北海道では、どこの家でもストーブに火が入り始める。もう、何十年も前のことだ。近所の家の庭では、薪をさらに細く刻んだたきつけ割りが始まり、それらを物置や家の壁に沿って屋根近くにまで積み上げていく仕事で忙し…