言葉と記憶の小径。

D's Diary./The long and winding path of my own choice.

2023-11-01から1ヶ月間の記事一覧

為(し)事。

ふと目にしたことや耳に飛び込んできた音、あるいはどこからか漂ってくる匂いに、自分のなかに長く眠っていた何かが揺り起こされる瞬間がある。今日、コンビニで「おじさん」という子どもの声に、振り向く。自分ではなく、ほかの誰かを呼んでいた。おじさん…

わからない、ということ。

〇日 04時30分起床、 準備を整え07時過ぎの新幹線で福島県A市。 3.11以降、原発事故による被災者たちが 補償金などの目途がついた順から、 内陸への移転を始めた。 同市エリアのハウスメーカーは数年間、 前年対比300%のバブル状態が続いたが 地元工務店は…

あきらめ。

〇日 気がつけば、11月も後半。大切な人との別れ、その別れが人との再会を導いてくれるなど、そんなことの繰り返し。思い付きで夕刻の飛行機で遠出をしたり、深夜、懐かしい場所を徘徊したり、意味不明のこともしたい放題。ただ、どんな街の、どんな人に会っ…

祈ることしかできない。

今年も、ぽつりぽつりと、喪中はがきが届く季節。 自分も、先週、出したばかり。 ネットからサンプルを見つけ、 事務所でさくっとプリントして出した。 昨年は義父、今年は母。 きつかった。 いまもなお、何をするにも力が出ない。 心ここにあらず、 とはこ…

小豆。

乾涸らびたような薄い煤色の細い鞘を親指の爪を使って縦に割ると、漆のような深い光沢を秘めた、少し縦長の豆が顔を出す。小豆である。「こんなふうになってるの、おまえ、知ってたか」「いや」携帯(当時 ガラケー)で写真を撮ってみた。いまさっき、母が庭…

陰を描けば。

ロンドン・パリ。2都市に絞って、いつものリュックに着替えと撮影道具を詰め込み、2週間の旅を決行したのは、確か11月のこと。二度目のヨーロッパであった。A社からカレンダーの制作を頼まれ、毎年この時期になると、海外に撮影の足を延ばしていた。潤沢な…