言葉と記憶の小径。

D's Diary./The long and winding path of my own choice.

2024-02-01から1ヶ月間の記事一覧

「向こう」から来るもの。

〇日 新千歳空港には10時前に着いた。快速エアポートと地下鉄を乗り継ぎ、11:30、札幌市内のカフェでAさんとお会いする。 リュック一つという最小限の荷物で行ったというのに、Aさんが準備していた資料は厚さ10センチくらいのファイルの束。順番に資料の解…

眼は遠くを、足は地に。

〇日 スーパーで1週間分の買い出し。久々に、パイナップル(切り分けされているもの)を買う。 母がまだ元気だったころ、毎週、施設(グループホーム)にもっていったことを思い出す。自分とカミさんと母の分を、5、6切れにしたものをタッパに入れていく。…

「スノーマン」。

毎日眺めているはずなのに、狭い庭のかんばせの移ろいにさえ気づかない。昨日まで雪があり、屋根からの氷柱がタタタと滴になっていたのに、今日は湿り気たっぷりの黒い土がのぞいている。時間はこうして、静かに、速く、雪のように溶けて流れていく。 子ども…

最後の言い訳。

音楽が嫌いな人、というのはおそらくいない。ジャズやクラシックが好きだというと少し高尚に見えることもあるが、そんなことは全くなくて、演歌の好きな人にも品格の高い男や女はたくさんいる。好きな音楽には、その人の還る場所が準備されている。着地点の…

過去を夢見る。

繰り返し見る映画の中に「野いちご」(1957 スウェーデン)がある。監督はイングマール・ベルイマン。「叫びとささやき」に次いで好きな映画だ。 物語は、夢と現実が交わりながら展開する。主人公の老医師イーサクが旅の途中で、老母の家を訪ねる場面があっ…

休日に開く本=佐野洋子/光野桃/山田太一。

洋子さんの「100万回生きたねこ」を初めて読んだのは、40年以上も前のことである。安アパートでの学生生活は貧しかったが、住んでいたのは港の見える丘公園まで徒歩20分の閑静な住宅街。山手の通りもドルフィンも休みの日の散歩コースだった。 しかし、現実…

「西の魔女が死んだ」=魂は成長したがっているのです。

懐かしい感じがする陶器の四角いシンク。調理台にも使える小さめのダイニングテーブル。少し傷んだ木枠とアンティークなガラス窓。ベッド横のランプ台としても使えるナイトテーブル。調理もできるし、暖かな火も楽しめるクックストーブ。畑に広く突き出した…

簡素に、簡素に、さらに簡素に。

「ウォールデン 森の生活 (上) 」ヘンリー・D・ソロー 小学館文庫 今泉吉晴 (翻訳) ■ 「質素な生活こそが、贅沢な生き方」。ソローは、そういって、森の中で思索を続けた。170年以上も前、いまと比べ、モノなどないに等しい時代、思索の日々を記録した「森の…

小さな生活。

〇日 一つの仕事を終えると闇の世界【Rabbit Hole】から抜け出し、現実世界に戻ってくるような気持ちになる。どんなにささいな仕事にだって、物語があって新たな発見がある。仕事の最中はうんざりすることの連続だが、物語から抜け出すと少しさびしい。勝手…

「悲しい」ことは「考える」こと。「考える」ことは「願うこと」。

本棚にある河合隼雄さんの本を数えると31冊。1冊1冊を、丁寧に、繰り返し読んできた。「子どもの本の森へ」は詩人・長田弘さんとの対話集。ここでの長田弘さんは、詩人というより鋭い社会学者みたい。久々に本を開いてみる。途中、随所で「略」あり。 @7…

「やぎさんゆうびん」。

月曜の朝は、いやだった。山羊(やぎ)の乳をもらいに行く日と決まっていたからだ。朝起きてすぐに「ほらっ」と母親に背中を押され、まだ眠い目をこすりながら家を出る。子どもの足で歩いても1、2分のところに八田さんの家があった。週に一度、月曜の朝早…