言葉と記憶の小径。

D's Diary./The long and winding path of my own choice.

小さな生活。

軽自動車に乗り換えて8年になる。
以前は2000cc・4WDのSUVだったが、息子に高値で売り付けた。
差額で48回払い、月々の返済は数千円。
税金、燃費、保険等を合わせ、
以前より維持費は年間85000円以上安くなった。

免許をとって最初に買ったクルマは中古のホンダ・ライフ360ccだった。
世の中に、こんなに乗り心地のいい
クルマがあるんだ、と感動した。

何十年ぶりかの軽自動車だが、実際に乗ってみると
小型車より幅こそ狭いが、室内長はたっぷり2130㎜。
オトナ4人が余裕で乗車できる。
エンジン音も驚くほど静か。
4WDなので、雪道のコーナーも路面に吸い付くように走る。


平均的な燃費はリッター19キロ。猛暑の現在は17キロ。
カタログ値はリッター26キロだが、長距離をかけるとこの数値を超える。
2000ccSUVのカタログ値は15.2キロだったが
長距離では平均16キロ(最高17.6キロ)、街乗りで12キロは走った。
このクルマでこの値を出す人は自分の顧客で10人もいない、
とディーラーの営業マンにお褒めの言葉をいただいたが、きっとお世辞。


この数年は、仕事場や家のなかの片付けばかり。

実家も壊して更地にしたし、一周忌を終えた義父の家は、これから解体。


家が広くなっていくのは気持ちがいい。

記憶は胸にしまっておけば、生涯、消えることはないと信じることにする。

 

先月は居間の壁を覆っていた大きな食器棚を捨てた。
我が家は間もなく築40年となる中断熱住宅だが
断熱改修を経て、年間の光熱費は最新のQ1住宅と変わらない。
(一次エネルギー消費では、とてもかなわないが)
震災以前より光熱費を30%軽減したが、人が動く工夫で性能の低さを補っている。

 

 

生活の質を落とす、というのではない。
生活の質を変えるのだ。


2階が寒く感じたら、少しだけ長く、
居間で家族が集まって過ごせばよい。
(ただし、極端な温度差は人と家の寿命に多大な影響を与えるので注意)

人は1人あたり100Wの発熱体であることはあまり知られていない。


テレビを消すと本が読める。
ラジオにすると、創造力が掻き立てられる。
蛍光灯4本の照明をLED2灯の間接照明にすると、
闇の深さが心地よく、睡眠も深くなる――など利点は数えきれない。


クルマも同じ。軽自動車は安全性に問題があるといわれるが

スピードを落とせばよい。

高速など、スピードを10キロ落とすだけで視覚は2割ほど拡がり、
以前には気付かなかった景色を楽しめる。
もっと景色を楽しみたいときには電車に乗る。急ぐときは新幹線、飛行機。

ようは、使い分け。

 

 

家もクルマも生活も、小さなものでよい。
生活を小さくして、モノを手放すことは、
貧相なことではなく、内なる自己や森羅万象とより深く
関わるために有効な手段となるはずだ。


300万円のクルマと500円の本で得ることの
差を探すことはむしろ、とても難しいのではないか。
目に見える部分の質も大切だが、
自己の内奥での質を高めることは、楽しいことかもしれない。

生きることを支えるエネルギーは、案外、内側に集中して、ある。

 

わたしが所有するものは
わたしを制限するものである。


富の蓄積に熱中している人はたえず膨張する自我のために
完全な調和の世界である精神の世界を
理解するための門をくぐることができない。

何ひとつ所有しないものは、全てを所有している。
家なき者は、
全世界をわが住処にすることができる。
友なき者には、ひとりとして他人はいない。(タゴール