言葉と記憶の小径。

D's Diary./The long and winding path of my own choice.

星座

〇日

年をとるたび、時間が早く過ぎていくというのはほんとうらしい。

60歳の1年は、10歳の1年の6分の1の速さで

過ぎていくのだそうだ。

歳月の流れる速さは、年齢に比例するという。

 

フランスの心理学者ピエール・ジャネが唱えた「ジャネの法則」。

そういえば、10歳の頃って

時間はどうしてこんなにゆっくり進むものなんだろうって

いつも思っていた。

 

未来はためらいつつ近づき、

現在は矢のようにはやく飛び去り、

過去は永久に静かに立っている。

 

ドイツの詩人・シラーの言葉をしかと噛みしめる。

 

 

〇日

海外からの客人が
我が家に寝泊まりしていたときに、大地震があった。
2階の寝室から真っ青な顔をして降りてきて
平気な顔をしている
私の顔を見て「こんな地震でよく平気でいられるもんだ」と
二度青ざめていたことを思い出す。


地震といえば、
この間テレビを見ていたら「近い内にダイジシンが起きる」と
コメントしていた人がいた。
正確には「オオジシン」。「大震災」はダイシンサイだから、
日本語はやっかいだ。


ついでに、
ニュースで「二人組(ふたりぐみ)の強盗」といっていたアナウンサーもいた。
これも正確には「ニニングミ」。

外国人で日本語を学ぼうとする人は、ほんとうに偉いと思う。
自分たちはおそらく
一生かかっても、ミスを犯し続けていくに違いない。
辞書が手放せない言語なんて、どこかおかしい、と考えてしまう。

 

 

〇日

Aさんとお会いする。
最近は目の前の仕事を、静かに深く──に歓びを感じるという。
みんなが喜ぶ種をいっぱい蒔いてきた人。
でも、そうじゃない人も、周りにはたくさんいる。
伸びることだけを考えている人は、根を張ることを忘れている。


月の光に照らされ、庭の樹木が残雪の上に、蒼い陰をつくっている。
オリオン座も、一月前とは角度が違って見えるが、
星と星の位置関係は何万年も前から、きっと少しの狂いもない。

【constellation】

constellate=群がる=が名詞となってconstellation=星座。
星と星とが一定の距離を保ちながら、全体として一つの形をつくる星座は
互いの距離を縮めることはできずとも
幾万年も寄り添いながら美しいかたちを保つ。
そんな人との関わりの形を
一つや二つ持てたなら、この人生、十分に幸福だと思う。