言葉と記憶の小径。

D's Diary./The long and winding path of my own choice.

母娘の会話。

A子さんのお母さんが入院して、間もなく3週間。すでに、口からの栄養は摂れない状態となり、身体のあちこちを「チューブでつながれている」という。日増しに、認知症の症状も強くなってきた。

 

A子さんは毎日病院に通う。ご主人や息子さんが時間のあるときは送迎を手助けしてくれる。一緒にお母さんに声を掛けてくれる。家族総出のお母さん支援プロジェクトだ。以下、A子さん語録。

「自分のオシメを取り替えてくれた人のオシメを交換できるなんて、幸せです」

「汚いとか、そんなこと、少しも感じない。恩返しできるんだもの。こんな時間ができて、ほんと、よかった」

 

「今日は『赤ずきんちゃん』読んであげた。100均で買った絵本だけど。わざと間違えて読むと『そこ違う』っていうんです」

「すごいよね。笑わせるとね、ちゃんと笑ってくれる」

「与えるだけじゃない。こっちもね、ちゃんともらってるんです」

「いくらボケても、母親なんだ。気持ちを受け取ってくれる。娘のこと信頼してるからだよねえ」

「あなたの気持ちを頂きましたっていうのも『お布施』のかたちなんだって。笑顔だけでもありがたい」

「こんなになっても、母娘でいられる。毎日、そう実感できるんです」

「向かいのベッドの(ガンの終末期)のおばさんも、私が行くとね、もう話せる状態でないんだけど、いつも笑顔で迎えてくれるんだ。品格だよね、その人の。人としての品格…」

「毎日、たくさんのこと、勉強させてもらっている。ありがたいよね。楽しいしんです。いま、とっても」