言葉と記憶の小径。

D's Diary./The long and winding path of my own choice.

濃密であること

出張。

荷造りはいつも15分で済む。

シェーブローションの補給とカミソリの刃の交換。

整腸剤と風邪薬、ビタミン剤をいくつか持つくらい。

 

着替えは常に3泊分だけ。

4泊でも、14泊でも、30泊でも、である。

もちろん1泊の場合は、1泊分。

 

これは日本でも、世界でも、北国でも南国でも同じ。

到着したその夜、身につけたパンツもシャツも

ハンカチも靴下も、ホテルの浴室で洗濯し、室内に干しておく。

冬は、乾燥対策ともなるので一石二鳥。

毎夜順繰りに洗濯していくと、

何泊の旅でも、3泊分の着替えがあれば十分となる。

お土産は買わない。

出張先で頂戴した資料やお土産類は、ホテルから宅配で自宅に送る。

手にする、あるいは背負うのもバッグ1つ。

 

 

●●

これまでお世話になってきた人への鎮魂の気持ちを込めて

ここに書くことが少なくない。

 

すでに亡くなった人のことを

何人も取り上げてきたが、まだまだ足りない。

それだけ自分も

かなりの歳月を生きてきたということになる。

 

人の死ほど何かを伝え残していくものはない──ということも、

ここに駄文を書くようになってから知ったこと。

 

肉体が滅してもなお

その魂と対話しようという意志さえあれば

人は死してもなお、静かなメッセージをいくつも発してくれる。

その人のことを書きながら

対話の時間をちゃあんと楽しんでいるつもりだが、

ほんとは少しさびしい。

 

生きている人とも

この人だって、いつかは必ず死ぬんだなあ、と思いながら話すと

その時間が途端に濃密になってくる。

対話というのは、

いつだって、

命がけでするものかもしれない。

 

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飲み友だちだったお寺の住職・Aさんから

聴いた言葉をメモしてあった。「慈悲のことば」というそうだ。

 

私が幸せでありますように

私の悩み苦しみがなくなりますように

 

私の願いごとが叶えられますように

私に幸せの光が現れますように

 

私の親しい人が幸せでありますように

私の嫌いな人も幸せでありますように

 

私を嫌っている人も幸せでありますように

 

生きとし生けるものが幸せでありますように

生きとし生けるものが幸せでありますように

生きとし生けるものが幸せでありますように

 

 

長らく、がんを患っていた。

一昨年、手術後にひょっこり仕事場を訪ねてくださった。

「ステージ2だから大丈夫」と笑っていた。

昨秋、急に調子が悪くなって、急逝。

 

あなたの世界で、

あなたがいつまでも、幸せでありますように。