言葉と記憶の小径。

D's Diary./The long and winding path of my own choice.

2023-02-23から1日間の記事一覧

湯たんぽとストーブと父の布団

昨夜の遅くから降り続いた雪は今朝になっても降り止まず、昼過ぎまでに20センチ以上も積もって、地面を再び白色で覆い隠した。昨日の昼には、家の前の道路もすっかり露出して灰色だったのに、やはり厳寒の2月。いまが、冬の頂上。 北海道では、こんな程度の…

「大丈夫」という愛語

何かで困ったり、悩んだりしたとき、おまじないのように「大丈夫、大丈夫」と唱える癖がある。子どものころ、父の布団のなかでよく聞いた寝言が根っこにあることに、最近になって思い出す。Aさんから電話。家族の病気が心配、経営の先が見えないなどなどちょ…

夜の会話

人の話を黙って1時間聴く。無言のまま、パソコンや紙に向かってひたすら書く。ただ聴くだけ、ただ書くだけ。そんな日々。誰かとふつうに会話がしたいという希求は常に自分のなかにある。が、そんな誰かを思い浮かべると、ほとんどが亡くなった人たちという…

過去を忘れた人

確か、2006年の秋のこと。テレビで「泣きながら生きて」というドキュメンタリーがあった。番組を見終わってから朝刊のテレビ欄に載った番組評を切り取り、ノートに大切に挟んである。上海から日本に来た男性と、離れて暮らす家族の日常。娘に高等教育を受け…

床屋さんで鼻血

子どもの頃の、床屋さん。大人たちがみんなそうするように顔剃りのときに眼をつぶるのが、なぜか恥かしかった。両眼をぎっと開けたまま、倒れた椅子に横たわる。若い見習いのお姉さんがいた。顔に覆い被さるようにして肌に剃刀をあてる。両眼からわずか数セ…